1997,01,26
阪神淡路大震災以降の活動案や対策案の中に、『救助と救急』の話題がありました。その内の一つを紹介します。
皆さんのお住いの所には、必ず消防署や消防団などの分駐先があります。
これは消防法で定められているのですが、車両の配備台数については、人口比率によって、前後されることが多いようです。
市町村内でも、特に山間部など、人口の少ない場所には常駐隊が居ない場合が多く、救急要請や救助事故があれば、中心部からの隊が現場に急行する事になります。
『しかし、一番近い所管の救急隊が、既に他の現場に出向し、山間部の現場に出場できなかったら?!これではレスポンスタイムの短縮どころか、救急業務の信頼をも失うことになる。』というコメントがあがりました。
そこで着目したのが、「タクシー」や「ハイヤー」の存在なのです。
確かにタクシー業界もサービスの充実を目指し、福祉用に改良したキャリアカーを導入するなど、社会時流への対応の素早さには目をみはるものがあります。しかも、事業所と個人タクシーが存在する事も魅力です。
早く言えば、パトカーや救急車より台数が多いということです。しかも、業務無線を使っていますし、個人タクシーの方もHAMや無資格無線機を載せている方が多いようです。
ここまで言えばもうお解りですよね、そう、『災害時には、救急車の代役とした支援活動を考えてみては?』というのが民間防災からの提案なのです。
しかし、我々で各社に対し、この企画を展開するには時間がかかり過ぎますので、そこで、「無線を使って活動する際には、上記のような活動も出来ますよ」とパンフに掲載し、あくまでも自主的に行える様に即しているのです。
この話に乗るか乗らないかは、オーナー各位の考え一つですね。
◆メディカルタクシーの具体案として(基地局の立場から)
地震などの災害が発生 ⇒ 営業車両の停止(安全確保)⇒ 各営業車両の安否確認 ⇒ 各営業車両の周囲の現況報告 ⇒(交通網の状態により)要救助者・傷病者の確保を指令 ⇒ 搬送先の病院を指示 ⇒ 病状等の情報交換(営業車両と病院とのやり取り)⇒ 収容 ⇒ 生命の維持に…
ここまで考えておけば、社会的にもプラスαの効果も期待できるでしょうし、何より、あてに出来る存在となり得ます。
話はこれだけで済みません。
傷病者を搬送する先には病院も存在しますよね。
そこで、病院施設内にも通話規制の少ない、デジタル簡易無線等を設置していただき、情報の交換を行えば、スムーズに搬送が可能となるのではないでしょうか。
災害の規模で左右されますが、道路交通網に支障が無い限り、支援人員の輸送(バス会社を含む)と傷病者の搬送には着目すべきだと思います。
この企画が可能であれば、是非、行政側と支援協定を結んでみて下さい。
以下には、実際に取り組んで頂いている取材記事を掲載いたします。
山梨県甲府市の合同タクシーは、常に街中を走り回っているタクシーの特性をいかして、7月7日から緊急支援活動サービスを始める。
このサービスは、緊急時の支援事業などを行っているホームネット(本社・東京都新宿区)が全国のタクシー会社と提携して進めているもの。契約した高齢者宅などに、ボタンを押すだけでタクシー会社に連絡できる機器を設置。緊急時には乗務員が駆けつけたり、警察、消防への通報などをする。全国44社のタクシー会社ではすでに行われているサービスだが、県内では合同タクシーが初めて。
サービス開始に先立つ6月3日に、甲府中央消防署の署員3人を合同タクシー本社に招き、緊急時に対処できるよう、乗務員に向けた救命講習を行った。
講習では、人形を使って、のどの中の異物の確認や気道確保、人工呼吸、心臓マッサージといった実技訓練が行われた。
この救命訓練について、合同タクシーの小沢常務は「高齢化によってタクシーを使う高齢者が増える。救命訓練を受けたドライバーがいれば、高齢者の乗客に異常が発生したときにも対処できるので、安心してタクシーに乗ってもらえるだろう」と話す。講習を受けた乗務員のひとりは、「署員の方に厳しく指導されたのでとてもためになった。やはり中途半端にはできない」と話している。(2000年6月4日/読売新聞)
三才ブックス 月刊「ラジオライフ」より抜粋
毎日新聞 7月5日(木)11時30分配信
地震などの災害時に道路の寸断や交通機関のまひなどの混乱が生じた際、県内の被災状況をいち早く認知したり、災害対応の職員を円滑に輸送したりするため、県は4日、県タクシー協会と災害時における緊急輸送協定を締結した。「県内各地を走っているタクシーによるタイムリーな情報収集や職員の輸送は、素早い災害対応に役立つ」と期待している。
昨年3月に発生した東日本大震災では、ほとんどの鉄道が長時間運転を停止。地割れや液状化などで通行止めとなった道路が相次いだほか、ガソリン不足なども発生し、対応に遅れが生じた。こうした教訓から県は、県内を走るタクシーの8割をカバーする同協会との輸送協定の締結を決めた。
同協会は、県内のタクシー会社225社で構成し、各社が保有する車両は合計約6500台となる。協定により、緊急時には県の災害対策本部からの要請を受け、走行中の地域の被害状況の報告を行い、対策本部や被災現場に向かう職員の輸送に協力する。同協会の道祖尾均会長は「タクシーの機動性を生かし、災害時に県民の役に立ちたい」と話している。
【斎川瞳】
毎日新聞 8月11日(土)16時49分配信
県と県バス協会、県ハイヤー・タクシー協会、赤帽県軽自動車運送協同組合の3団体は10日、南海地震などの大規模災害に備え協定を締結した。
3団体は県の要請に基づき、被災者やボランティアの人員輸送、食料や日用品などの物資輸送を行う。四国電力伊方原発(伊方町)での原子力災害時の住民避難にも協力する。県庁で調印式があり、県バス協会の佐伯要会長は「東日本大震災では鉄道が寸断され、バスなどが活躍した。県と連携し、迅速な対応を取りたい」と語った。