2001,02
災機隊の考えは、万一の時の「通信網の確保」ということなのですが、災害時にしか通信出来ないのか?!或いは、阪神級の地震を待ち望んでいるのか?!等といった言わば、興味本意で活動を促している訳ではないことをご理解下さい。
山間部で山林火災や雪崩・土砂崩れ等が発生した場合、『道路交通網であれば、交通規制を促す為の情報を的確に報じ、付近を走行し電波をキャッチ出来る方には、現場に近付けさせない。そういった通話を行えば、交通渋滞など、余計な部分に人材と時間を必要としないだろう』とも考えられます。
それとは逆に、民家まで距離があり、助けが必要な場合には、通信を聞いて駆けつけてもらえる体制も必要です。
これは中心部での火災でも同様で、現場周辺には消火作業の為に、消防車が集結します。そして、交通遮断を行い、作業されるわけですが、当然、大半の方は火災現場を知らなければ、火災が発生していることも、渋滞に巻き込まれてはじめて知ることになります。
そこで、事務局のメンバーの車輌にもレシーバーや、受信改造を施したリグを搭載し、地元消防本部の通信を傍受させています。そして出火報が入れば、パーソナルやHAM機で迂回の案内を流す事にしています。
ただし、四六時中と言う訳ではありません。スタッフ全員定職をもっている為、常時、通信可能とはなりません。そこで、「各々が扱える時間内に、火災が発生すれば行う」といった自主体制にしています。
もちろん、受信側も「機器の前にいれば、受けられる」となります。
企業でも火事場付近への立ち入りを抑制する業種もあります。宅配業者やタクシー等がそうですね。
燃料店では自社の取引先(お客様)や、その付近で火災があればガスボンベを取り外しに行くようにしています。(ガス爆発による被害を抑える為)
このように、決して「通信網の確保」だけではなく、情報提供をすることにより、スムーズに作業が行えるようにと考えた活動も出来ます。
すなわち『直接、災害や現場にタッチしなくても、専門職が円滑に作業に取りかかる為のバックアップやアシストをする』ことも、活動の一つであろうかと思います。
次に災害についてですが、ここでは「わざわい」として、交通事故も対象とさせて頂きます。
災害と名のつくものは意外に多く、大きく別ければ自然災害と人為災害に別けられ、人為災害も二つに分類することが出来ます。
◎災害の種類
<自然災害>「直接の要因が自然現象によるもの」
地震・水害・土砂・大雨・大雪・山林火災・気温(気象要因)・火山噴火・台風 等
<人為災害>
①人が作為的に起こす事案
●放火。殺人。侵入盗。
●当り屋などによる交通事故。
●危険を承知で、無理をして起こす事案。
●油断が招いて引き起こす火災などの事案。
(乾燥注意報発令中に扱う裸火など)
●不適切な行為で起きる事案。(手抜き工事など)
②不可抗力に起きる事案
●社会自然環境上、起こり得ない又は予測・予期・予知不可能な状態で発生する事案。
●一般人が直接介入、又は、手を施すことの出来ない専門分野での事故災害。(害虫等による漏電火災やトンネル落盤事故など)等
この他にも時代により構造物の材質が改善されたり、逆に粗悪になっていたり、まだまだ発覚していない要因も有りそうです。
おおまかに書き出してみましたがいかがでしょうか?
皆さんが活動対象とされるものがこの内に有りましたら、それはそれで結構だと思います。
先にも陳べましたが、通信機を用いてどこまで活用すべきかは、皆さんの気持ち次第だと思います。(自己啓発活動)
「通信技術を持っている強みと利用価値」を良く考えて、有効に活用、そして、活動できる状態にしてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、活動報告書の事例をご参照下さい。
ここには事務局のある石川県金沢市で、1年近く続いた「連続車輌放火」事案の活動報告が掲載されています。
1999年4月に1件目が発生し、以降、翌年3月に犯人が検挙されるまでの影ながらの活動が報告されています。
我々が、総括とともに活動を決めたのが同年6月中旬。(この時点で災害指定を行った。防災ボランティアが指定するのは全国でも初。)
-以降 民防総括の言葉を拝借-
頭を悩ませたのが初回のチラシです。
この時はまだ、連続性有りとの判断がなされていない事もあり、「ひょっとして勇み足になるかな?」といった気持でのチラシの構成でした。その中でも、ヘッドコピー(メインタイトル)の決定であったと思います。
初回のコピーは「狙われています!不審火の監視・対策にご協力下さい。」といった、物腰の柔らかいもので、内容には「誰もができる狙われない為の工夫と監視」について掲載しました。
その後も検挙されない状態が続き、季節がかわり、チラシ類の内容も数種にわたり変更を余儀無くされ、ヘッドコピーも「狙われています! 不審火監視中!」と少々威嚇的にしました。
これは当初からの意図で、『第一に住民サイドに警戒心を植えつけ、対策と警戒心の持続を呼びかけていく』、といった狙いがあったからです。
犯人の検挙は二の次で、住民一人一人が室内監視・水まき防犯等を行ってもらえば、犯人を寄せつけず、また犯行時間が深夜ということもあり、目撃者を生み出すことができ、あわよくば検挙につながるだろう。
これは民間防災の基本である、「自分の身は自分で守る」を考慮してのものです。
不定期な活動であったものの、今日では同様の事案が発生すれば、きっと初動がきくだろうと思っています。
このように最終的には、隊リーダーの考え一つで取り組み方はかわりますが、全体的に言えるのは、判断力とメンバー・スタッフ達の合意です。
時にリーダーは、「作戦指揮官」的な存在や、動きも必要となりますので、その点も含めて、スタッフ達と良く話し合ってみて下さい。
「そこまでする必要はない」となれば、自主対策を施し、自らが細工への手本となれば、危険な部位に立ち入らなくても良くなりますので…。
活動報告書をお付け致しておきます。ご参照下さい。